王の恋人

第15話

ゼインはその鳳凰の瞳を深く見つめ、イーサンの自信と王族の風格を感じ取った。

「殿下、私はあなたの安全を確保するため命を捧げます」ゼインは宣言した。

イーサンは微笑みながら頷いた。「ありがとう、将軍」

そう言って、イーサンは馬車へと戻っていった。ゼインはその場に留まり、イーサンの後ろ姿を目で追いながら、心に不安が募っていくのを感じた。

「イーサン・ケイラン、お前は本当に人の心を惹きつける術を心得ているな。遅かれ早かれ、お前はヘリオスに大きな厄災をもたらすだろう」

馬車が動き出すと、ゼインの思考はヘリオスの未来へと向かった。あれほど魅力的でカリスマ性のある存在は、ヘリオス王家の信頼と愛情を簡単に勝...