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第10話

カシアンは頭を下げて続けた。「私がアリアの使者だった頃、第四王子と何度かお会いする栄誉を得ました。彼の評判は真に相応しいものです。その美しさは絵画をも凌ぎ、その振る舞いはまるで天上の存在のようでした」

ヴァレリウスはニヤリと笑い、目に皮肉の色を宿した。「私の側室たちよりも美しいとでも?」

カシアンは優しく微笑み、敬意を込めた口調で答えた。「陛下、イーサン・カエラン王子は、馬に乗れば英雄の気概を放ち、琵琶を奏でれば比類なき風情を見せ、将棋を指せば鋭く聡明です。この世にそれに匹敵する女性がいるでしょうか?」

ヴァレリウスは心から笑ったが、その目には深い思索の色が明らかだった。「彼に会ってみた...