




チャプター 7
俺は笑った。「信じられないよ! それで、彼女って誰? 俺、知ってる人?」
「いや。」
「え? マジで? 同じ大学に行くの?」
「もう聞くなよ。」彼は質問をかわした。
「頼むよ! 誰にも言わないって。彼女にだって、お前が彼女を好きだってこと、絶対に言わない。黙ってるって約束するよ。」俺は唇を閉じる仕草をしながら、つぶやいた。
「次に会った時に教えてやるよ。今はダメだ。」彼はニヤリと笑いながら俺から離れていった。「急げよ! 遅れるぞ!」
彼は教えてくれない。だけど、俺にはその女の子が誰なのか、なんとなく分かる気がする。チェイスなら知ってる。彼は俺がすでに何か知ってる時には、時々何も言わなくなるんだ。
一体、誰が俺の無関心な友人の心を掴んだ幸運な女の子なんだろう?
絶対に突き止めてやる。俺にはその方法がある!
リアムの視点
教授が話している間、俺の心はどこかへ彷徨っていた。集中できない。頭の中に気になることがあるからだ。
変に思われるかもしれないが、俺はチェイスがオースティンを好きなんじゃないかって感じている。
確信はない。でも、俺の直感がそうじゃないって言ってるんだ。
それに、さっきチェイスがオースティンを見ていた目つきが、なんだか違っていた。
もし俺の疑いが正しければ、チェイスはゲイだ。
何とかして確かめなきゃ。
オースティンの視点
「オースティン。」
背後から誰かが俺を呼んだ。振り返ると、そこには彼がいた。いつも俺の一日を台無しにする男だ。
でも、ちょっと待てよ。こいつ、今俺の名前を呼んだのか?
「お前、俺の名前を呼んだな。俺のこと知らないと思ってたけど?」俺は尋ねた。
彼は俺に近づいてきて、再び口を開いた。「知ってるよ。君のことはよく知ってる。」
「どうやって俺のことを知ったんだ?」俺は困惑して眉をひそめた。
「そんなことはどうでもいい、オースティン。」彼はそう答えると、俺の腰をつかんで引き寄せた。俺の目は驚きで見開かれた。
二人の唇が触れそうになるほど近づいた。
「何やってんだよ!?」
「好きだ。」彼は告白した。俺はさらに呆然とした。
「は!? 正気かよ? 離せ――」俺は言い終えることができなかった。彼が俺にキスしてきたからだ。
彼の唇が俺の唇にぶつかり、激しくキスを始めた。
俺は彼を突き放そうとしたが、彼は俺を強く抱きしめている。そして、俺は自分自身が彼に身を任せていることに気づいた。
くそっ! 何が起こってるんだ? なんで俺、こいつにキスしてるんだ? なんでキスさせてるんだ?
口を開け、舌が支配を争うように絡み合った。なぜか俺は彼に勝たせてしまった。
でも、正直言って、彼のキスに溺れている。頭が真っ白になって、力が抜けた。
彼はまるで長い間俺を待ち焦がれていたかのようにキスしてきた。
彼の舌が俺の口の中を探り、俺は彼の唇にうめき声を漏らした。
彼のキスが好きだ。
待てよ、なんだって?
俺、なんて言ったんだ?
なんてこった! 俺、頭がおかしくなったに違いない!
でも、くそっ、確かに彼のキスが好きだ。
次に気づいた時には、俺たちはソファの方へよろめきながら移動し、シャツを脱ぐためだけに一瞬キスを中断した。そしてまた唇を重ね、裸の胸が触れ合った。
彼の肌が俺の肌に触れると、まるで火のように熱かった。
ズボンの中で俺のものが硬くなるのを感じた。
彼の手が俺の胸を下へとなぞり、ズボンにたどり着くと、ジーンズ越しに俺のものを掴んだ。俺は息を呑み、彼の口の中にうめいた。
彼は俺の首にキスを始め、敏感な場所を見つけた。俺は大声でうめき声を上げた。
くそっ! 彼が与えるこの感覚は狂ってる! 彼が男で、俺も男だということを忘れ続ける。
彼は俺の肌に微笑みかけ、首から胸へとキスを続け、舐めながら俺の前にひざまずいた。
彼は俺のズボンを外し、ボクサーと一緒に一気に引き下ろした。俺は彼の前で完全に裸になった。
心臓が緊張でドキドキし、同時に恥ずかしさを感じた。誰かの前で裸になるのは初めてだったからだ。
だが、彼が俺のものを掴み、揉み始めた時、俺は言葉を失った。そして彼がそれを口に含むと、俺は叫んだ。気持ちよすぎる。彼は速度を上げ、俺をさらに気持ちよくさせた。
絶頂に達する前に彼は止めた。二人ともこれで終わりたくないと分かっていた。
彼は立ち上がり、自分の服を脱ぎ、俺たちはソファに移動した。彼が俺の上に横たわり、激しくキスをした。そして――
俺は息を切らしながら目を覚ました。ベッドから起き上がり、額に汗がにじんでいるのを感じた。
一体何だ? あんな嫌な奴の夢を見てしまったなんて。
私は唇を、首を、胸を触り、そして何よりもズボンの中にある「あれ」に触れてしまった。
服は脱いでいない。くそっ、良かった!
胸に手を置き、安心しながら息を吐く。
でも、待てよ……。
ズボン越しに自分の男の部分に触れてみると、その硬さがはっきりと感じられた。
何だこれ? まさかあの夢で興奮してしまったのか?
くそっ! 俺、頭がおかしくなったんじゃないか!
ちくしょう! 夢があまりにもリアルで、奴の顔がはっきり見えた。体に触れる手、唇、舌の感触まで鮮明に感じたんだ。
一体何なんだ?
「お、起きたな」右側から誰かが声をかけてきた。トラビス先生の姿を見た瞬間、慌てて横にあった毛布をつかみ、体半分を隠した。
「あ、はい。たった今起きたところです」どもらないように気をつけて答える。
「一日中寝てたんだろ?」トラビス先生はニヤリと笑いながら背を向け、歩き去った。
本当にそんなに長く寝ていたのか?
腹に痙攣を感じて思わずうめき声を漏らす。なんてことだ! あのバカな夢のせいで興奮するなんて。
夢を思い出せば、背筋がゾクッとする!
ズボンのポケットからスマホを取り出した。昨夜電源を切っていたので、スイッチを入れる。
電源が入ると、画面に表示された時間を見て目を見張った。
マジか? もう夕方の五時だって?
本当に一日中寝ていたのか?
この時間なら授業も終わって、帰宅する頃だ。
ベッドから出ようとした瞬間、スマホがブーブーと激しく振動し始めた。画面を確認すると、アッシュとリアムからのメッセージや着信が山ほど来ていた。俺を探していたようだが、返信はしていない。
スマホのフロントカメラで自分の目を見る。腫れが引いているのを確認して、ほっと息をついた。
ベッドから出ようとしたとき、ベッドサイドのテーブルにジュースとサンドイッチが置かれているのに気づいた。
これは誰のものだ?
まあいいや。ベッドから出て、個室を出た。
「調子はどうだ?」トラビス先生が尋ねてきた。私は彼のデスクの前の椅子まで歩き、腰を下ろした。
「だいぶ良くなりました」そう答える。「そういえば、テーブルの上のジュースとサンドイッチは誰が持ってきたんですか?」彼なら何か知っているかもしれない。
「チェイスが持ってきたんじゃないかな。君のことを心配していたようだ」彼はニヤニヤしながら言った。
眉をひそめて首を傾げる。「チェイス? 誰ですかそれ?」そう尋ねると、彼の表情が変わった。
「チェイスを知らないのか?」彼は考え込むように言う。
「はい。誰なんですか?」
本当にチェイスなんて名前の奴は知らないので、困惑していた。
「水泳部にいる奴だよ」
その瞬間、プールエリアで会った「あの嫌な奴」を思い出した。そうだ! さっきもここにいたじゃないか。
つまり、チェイスってのがその名前なのか? そして、俺のためにジュースとサンドイッチを持ってきてくれたって?
一体何でそんなことをするんだ?
でも、受け取るつもりはない。なぜ受け取らなきゃいけないんだ?
「君たちは友達だと思っていたよ」
「は?」私は嘲るように笑った。「いや、知り合いでもなんでもないですよ。友達になるわけないじゃないですか。なるつもりもありません」
彼は小さく笑った。「なんだか愛憎関係って感じがするな」彼は声を潜めて言ったので、よく聞き取れなかった。
「何か言いました?」
「いや、何でもないよ。家に帰ってゆっくり休むんだな。食べ物も持って帰りなさい」
「いえ、結構です。見知らぬ人からの食べ物は受け取りません」そう言って立ち上がる。「もう行きます。ありがとうございました、トラビス先生」そして診療室を出た。
キャンパス内の生徒はもう全員帰ったようで、廊下はがらんとしている。通り過ぎる教室も空っぽだ。
なんて素敵なんだ! なんて平和なんだ!
たった一日でいいから、世の中の全員が消えて、俺だけが残されたらどんなに平和だろう。自由に何でもできるのに。
でも、そんなことは絶対に不可能だ。
「一日中寝てたんだな?」
突然誰かが話しかけてきて、足を止めた。右側を見ると、壁に背中を預けて立っている奴がいた。両手はポケットに入れ、ゆっくりとこちらを向いて微笑む。
一体何でまだここにいるんだ?