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第44話

オースティン視点

実際には帰宅途中だったのに、気づけば車を走らせて彼を遠くから尾行していた。自分が何をしているのかさえわからなかった。ただ、彼を追わずにはいられなかった。彼はほの暗い通りを歩いていて、少し頭を傾けながら電話で話し、顔に笑みを浮かべていた。それもただの笑顔ではなく、耳まで届くような満面の笑みだった。

誰と話しているんだ?

胸に奇妙な痛みが走った。彼は誰かに会いに行くところなのか?もしかしたら、それが僕に送ってもらいたくなかった理由か。彼は…別の誰かと予定があるのかもしれない。

突然湧き上がってきた苦々しさを振り払おうと、僕は顎を引き締めた。この感情がどこから来ているのかさ...