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第40話

「そんなに長く見つめてたら、目が見えなくなるぞ」と彼女に言ったが、彼女は私に注意を払わなかった。ただ指にはめた6.03カラットのラディアントカットのダイヤモンドリングを見つめ続けていた。宝石店に入った瞬間から、彼女の目はそれに釘付けになり、顔いっぱいに満面の笑みを浮かべていた。「てっきり指輪のことで喧嘩になるかと思ってたよ」

「意地悪言おうとしてるのはわかるけど、この美しさに感動しすぎて気にならないわ」彼女は笑顔で、指輪を顔の近くまで持ち上げた。それは彼女のものになったのだ。

「女と宝石ってやつは」目を転がしながら、私も笑顔を隠そうとしたが、彼女はただバカみたいにニヤニヤし続けていた。

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