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チャプター 62.血と紙

午前六時四十五分、俺が通用口からそっと忍び込んだとき、学校はまだ半分眠っているような状態だった。廊下は薄暗く殺風景で、非常灯の蛍光灯だけが灯っていた。俺の足音は、柔らかくも鋭く反響し、朝の光の中の幽霊のようにロッカーが並ぶ列を通り過ぎていく。

俺はネイビーブルーの、体をすっぽり覆ってしまうパーカーのフードを深く被り直し、中身の重みで少し垂れ下がった黒いバックパックの位置を調整した。スマホを一瞥する。

作戦は進行中だった。

計画の第一段階は、もう何週間も前から動いていた。始まりは巧妙だった。

最初、ダイアナはただ影だけを見ていた――そこにはないはずの反射、振り返ると止まる足音。彼女のロッカーが不...