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第56話

カイの視点

バルコニーに足を踏み入れた瞬間、タバコの煙の悪臭が鼻に入り込んできて、咳き込んでしまった。手に持っていたドリンクを落としそうになる。

「ナイト!何してるんだよ!」煙の渦を手で払いのけようとしたが、あまり効果はなかった。「いつからタバコ吸うようになったんだ?」

「吸ってない」彼は溜息をつき、半分燃えた吸い殻を手すりで消してから、隣のゴミ箱に捨てた。「大学に入った時にやめたんだけど、古い習慣は簡単には消えないみたいだな」

「どういう意味?」私はビール瓶を彼に手渡しながら、テラスの手すりに並んで立ち、下の森と遠くの湖を眺めた。「なんでタバコを吸い始めたの?」

「俺の人生で常に対...