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第48話

クララの抑えた呼吸音だけが、この混沌の中で私を現実に繋ぎとめていた。倉庫には火薬と埃の刺激臭が充満し、銃声の反響がまだ鉄の壁を震わせていた。アドレナリンが体中を駆け巡り、銃を握る手の筋肉は緊張で強張っていた。

マルセロは金属の木箱の山の近くで崩れ落ち、血を流す肩を押さえていた。エヴリンはまだ生きていて、コンテナの陰に身を潜め、敵の通信を傍受するためにノートパソコンを必死で操作していた。

そしてリチャードは…

あの忌々しい薄笑いを浮かべて立ち尽くし、まるですべてを予見していたかのように事態の成り行きを見守っていた。

そして、最後の銃声が消え、血の匂いが空気に重く漂う中、彼は動き出した。

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