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チャプター 99

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魔法のランタンの柔らかな灯りが王の私室を抑えた琥珀色に染め、その光は黒曜石の壁に優しく揺らめいていた。壁には銀の鉱脈が、まるで宮殿そのものの鼓動のように微かに脈打っている。隅に置かれた木製の湯桶からはまだ湯気が立ち上り、繊細な蔓のようにくゆっていた。湯桶のルーン文字は今は活動を停止し、中の湯はガラスのような静けさへと冷めていくところだった。ラベンダーとシダーウッドの香りが部屋に満ち、密閉された窓から染み込んでくるノクティス・ドミニアの永遠の黄昏が運ぶ微かな金属臭と混じり合っていた。

ローナンは湯桶から上がった。その動きは緩慢で気怠げだ。全身の筋肉が旅の負担に、そして身の内にはぐ...