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チャプター 96

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シルヴァーワイルドの城門が、重々しい軋り音を響かせながら開いた。鉄製の蝶番の音が、早朝の靄《もや》にこだまする。疲れた馬たちの蹄《ひづめ》が、石畳を規則的なリズムで打つ音と共に、ディミトリの馬車が中庭へと滑り込んだ。武装した騎士たちに両脇を固められ、その後ろには昨夜捕らえた暗殺者たちを乗せた、厳重に守られ施錠された別の荷馬車が続いていた。

ディミトリは、馬車が完全に停止する前に身を乗り出し、その黒いコートが夜明けの冷たいそよ風にはためく中、ブーツが重々しく地面を踏みしめた。手袋の縁にはまだ血糊《ちのり》がこびりつき、縫い目で乾きかけている。普段は愉悦や悪戯心にきらめく彼の空色...