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チャプター 70

夜は重い沈黙に満ちていた。それを破るのは、規則正しい呼吸のリズムだけ。切望と緊張をはらんだその音だけが、部屋に響いていた。部屋の隅で蝋燭の灯が柔らかく揺らめき、もつれたシーツの上に影を落とす。ディミトリとローナンは共に横たわり、その身体はゆっくりと熱を帯びていくような親密さで絡み合っていた。ディミトリの動きは意図的で、その一つ一つが、浅く、速く、そして静かな喘ぎに満ちたローナンの微かな息遣いによって区切られていた。

ローナンの指がディミトリの髪を梳く。その言葉の重さとは裏腹に、指先は優しかった。「ディミトリ……」声は囁きに近かったが、そこに含まれた渇望は明らかだった。ディミトリは動きを止めな...