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チャプター 235

鉄と古びた蝶番が低い軋み音を立て、城の扉が呻くように開いた。ケーランが足を踏み入れた。そのマントは旅の埃と儀式の煙にまみれ、身からは灰と松の香りがかすかに漂っていた。

だが自室へは向かわず、彼は左へと進路を変えた。

イヴァンの部屋。

ノックはしなかった。

まるで部屋の空気が両側とも自分のものだとでもいうように、ただ扉を押し開けた。

部屋の中では、イヴァンが淡い贅沢さに包まれて横たわっていた。赤い髪を肩のあたりで無造作に散らし、薄い白のレースのローブをまとっているが、それは鋭い鎖骨のラインと侮蔑の色を隠す役にはまったく立っていなかった。ハードカバーの分厚い本が太ももの上に置かれていた...