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第二十七章

部屋は静まり返り、魔法の壁掛け燭台のかすかな唸りと、時折羊皮紙をめくる音だけが響いていた。イヴァンは隅のアームチェアに脚を組んで丸くなり、スキャンダルをまとうかのように絹のローブを羽織っていた。読書用の眼鏡が鼻の中ほどに引っかかっている。まったく不要なものだったが、ひどくお洒落ではあった。

膝の上には二つのファイル。

一つは「ジェイデン・カーター ― ドナープロフィール」。

もう一つは「トライアム・パクト ― 元議長 リズ・ヴェン・カーター」。

ドアがきしんで開いた。

イヴァンは顔を上げなかった。「やっとか。ずいぶん時間がかかったじゃな――」

彼は言葉を切った。何かがおかしかった...