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チャプター 197

ジェイデンは顎を引き締め、寮の部屋が何か臭うのではないかというように、きょろきょろと視線を巡らせながら足を踏み入れた。

臭いはなかった。アラリックがそうなるよう手を尽くしたのだ。

シーツは清潔で、机の上も片付いている。魔法とレモンの香りがするチャームスプレーのかすかな匂いだけが、空気に漂っていた。

「それで、ここがそうか」ジェイデンは呟き、ドアのそばにバッグを落とした。「……『フォレスト・シック』とやら、か」

アラリックは乗ってこなかった。彼は机に背をもたせかけ、腕を組み、冷めた視線を向けていた。

「帰りたければ帰ってもいいぞ」

ジェイデンは振り返り、顔をしかめた。「あんたがもう...