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第173章

霧が彼らを丸ごと飲み込んでから、二月(ふたつき)が過ぎていた。

低い灰色の空の下、その小屋は静かに佇んでいた。荒れ森の奥深く、人里離れた場所にひっそりとあり、道からも人々の記憶からも忘れ去られていた。

中で、シャーロットは静かな日課をこなしていた――暖炉の火の番をし、破れた裾を繕い、窓辺で林檎の皮を剥く。

アラリックが近くで遊んでいた。

それが遊びと呼べるものならば、だが。

彼は暖炉の前の厚い敷物の上に座り、手の中の小さな木彫りの狼を何度も何度も弄んでいた――笑いもせず、言葉も発さず。

ただ……弄んでいるだけだった。

シャーロットは視界の隅で彼を見守っていた。名状しがたい不安が胃の...