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チャプター 167

幻術師は炎と色彩の渦の中で舞っていた。指先が操る炎のリボンは鳥に、花びらに、そして降り注ぐ星へと姿を変える。観衆は拍手を送り、ある者は息を呑み、またある者は歓声を上げた。アラリックは目を丸くして、二つの露店の間に挟まれるようにして一番前に陣取り、低い木箱の縁を両手で掴んでいた。尻尾が嬉しそうにぴょこぴょこと揺れる。世界は音と動きできらめいていた。

彼は楽しんでいた。

父さんたちにねだって買ってもらった小さな木彫りの獣を片腕に抱え、首にかけたムーンストーンのペンダントは、幻術師の頭上で瞬く火花の光をことごとく反射していた。

「火のドラゴン作ってる」と、彼は畏敬の念に打たれながら、誰に言うで...