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チャプター 166

アラリックは両親の数歩先を駆け出した。小さなブーツが石畳の広場を叩き、耳が新たな音にぴくぴくと反応する。儀式用のマントは、一時的に、柔らかな裏地のついたフード付きの短いものに取り替えられていた。だがそのフードさえ、彼はもっとよく世界を見ようと何度も後ろへ押しやっていた。

「ゆっくり行きなさい、息子よ」ローナンが軽く呼びかけた。「王族の足首を折っても、運んでやらんぞ」

「運んでくれるくせに」アラリックは振り向きもせずに言い返し、色鮮やかな屋台を指差した。「あそこ、シナモンの匂いがする!」

ディミトリはローナンと視線を交わした。「そういうところは君譲りだな」

ローナンはにやりと笑った。「ま...