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チャプター 16

ローナンは凍りついた。その言葉は、馬鹿げていてあり得ないと、彼の心にこだました。「オメガだと?」不信感をにじませた声で彼は繰り返した。それから、乾いた、苦々しい笑い声をあげた。「冗談だろう」

「冗談ではありません」アーレナは動じない口調で答えた。「昨日、あなたはヒートに入ったのです。だからあのような状態になったのですよ」

ローナンは緊張で体をこわばらせ、彼女を見つめた。ヒート? この自分が? 王子であり、アルファであり、戦士であるこの自分が。馬鹿げた考えだ。あり得るはずがない。

ローナンの声が、張り詰めた沈黙を破った。「なぜ今なんだ?」苛立ちを隠せない鋭い口調で彼が尋ねた。「なぜ、これま...