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第109章

王家の陽光の間は、常ならぬ暖かさに包まれていた。

高いアーチ窓の黒曜石ガラスを透かして陽光が射し込み、カーテンに織り込まれた水晶の糸に絡め取られていた。暖炉では、揺るぎない銀色の炎が燃えていた――神経を鎮める魔法がかけられていたものの、今のところ、そこにいる誰の神経も鎮めてはいなかった。

長いテーブルの上座にはセラフィーナが立っていた。身じろぎするたびに囁くような音を立てる煙色のローブをまとっている。片手には巻物を、もう一方の手にはリストを持っていた。

ディミトリとローナンは彼女の向かいに座り、話半分に聞きながら、半分はうわの空だった。

「ユリはなりません」セラフィーナは顔も上げずに言...