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第108章

平穏は長く続かなかった。

アラリックの最初の産声は鋭く力強かった。だが数時間後の二度目の泣き声は違っていた――もっと深いところから絞り出すような、しゃがれていて、いらだっている。ローナンの肋骨に絡みついて締め上げるような、そんな泣き声だった。

最初に身じろぎしたのは彼だった。

ディミトリは座ったまま眠りに落ちており、片腕をローナンの腰に庇うように回していた。ローナンはできるだけそっとその腕から抜け出し、胸の上の小さな包みを見下ろした。

アラリックの小さな顔は、憤慨しているとでもいうように歪んでいた。再び開かれた琥珀色の瞳は、先ほどまでの好奇心は薄れ、もっと……不機嫌そうに見えた。小さな...