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第69話

エリーゼ視点

熱い水が私の体を激しく流れ落ち、肌が焼けるような灼熱の流れとなって私を包む。その熱を全身に浴びながら、頭の中で渦巻き続ける思考を消し去ろうとしている。昨夜の出来事を少しずつ思い出そうとしているけれど、思い出そうとすればするほど、記憶はぼんやりとしていく。まるで覚めることのできない夢の中に閉じ込められたかのように、すべてが霞んでいる。

カムと私の間に起きたことを考える。あの生々しく、切迫した形で私たちの体が重なり合った様子。彼に引き寄せられ、長い間感じなかった強さで触れられるのを許してしまった。でも、はっきりとした記憶を掴もうとするたびに、それは指の間からすり抜け、空虚で胸を締...