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第57話

エリーゼの視点

小さなリビングルームで行ったり来たりと歩き回る私。シャワーの水が流れる音が背景に絶えず響いている。私はそれを見てしまった。見なかったことにはできない。その光景が頭の中で何度も再生され、振り払おうとしても、悪い記憶のように私にまとわりついてくる。混乱、怒り、罪悪感が胃の中でごちゃ混ぜになり、醜いものへと変わっていく。

私が見たものは光の悪戯、実際よりもずっと悪く見えた影だったと信じたい。でも違う。見なかったふりはできない——カムが、他の誰かと一緒にいたこと。その誰かは私ではなかった

一瞬足を止め、ソファの背もたれに手を押し当て、生地をぎゅっと掴む。まるで意志の力だけで...