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第49話

エリーゼの視点

何が起こったのかさえわからない。一瞬前まで、私はカイルを押しのけて止めようとしていたのに、次の瞬間には、彼のキスが世界のすべてであるかのように、私を飲み込んでいた。頭の中では自由になれと、彼をきっぱりと押しのけろと叫んでいたのに、私の手は—体の横で凍りついていた。彼の唇は、温かく、強引で、あらゆる警告、残っていた自制心のかけらも忘れさせるように私を誘惑した。まるで彼の触れ合いが、私がずっと逃げていた混沌の中へ引きずり込むかのようだった。

彼がキスを深めると、胸が痛み、お腹に固く痛ましい結び目ができた。息ができない。考えることもできない。本来なら彼を押しのけるはずの私の手が、...