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第44話

カイル視点

エレベーターの柔らかな唸り声だけが空間に満ちていた。私は立ったまま、親指でスマホの画面を無気力にスクロールしていた。ドアの上の数字がゆっくりとロビーへの下降を示す中、隣に立つ男にはほとんど注意を払っていなかった。

エドマンドはドアが閉まりかけた瞬間にエレベーターに乗り込んできた。その足音が静かな空間に響いた。彼が入ってきても私はスマホから目を上げなかった。今日は十分に長い一日だったし、世間話をする気分ではなかった。私の頭の中はまだ病院での出来事、エリーゼとの時間を反芻していた。彼は今のところ安全だ。それだけが重要なことだった。

しかしそのときエドマンドが口を開いた。

「病院...