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第38話

エリーゼの視点

カイルが私の方を向いて横向きになったとき、私は思わず息を飲んだ。薄暗い病室の灯りは彼の顔をかろうじて照らしていたが、十分に見ることができた。彼の目には、普段は見せない何かが宿っていた—傷ついた様子。それは微妙で、いつもの気さくな表情の下に隠れていたが、確かにそこにあった。そしてそれは私の胸を締め付けた。

カイルはこんな姿を人に見せたりしない。彼はいつも冗談を言い、いつも笑い、いつも何事もないかのように物事を軽く流す人だ。でも今、彼を見ていると、これが大切なことだとわかった。が大切だということが。

私はゆっくりと息を吐き、病院の毛布を強く握りしめた。「カイル…」...