敵との一夜

第22話

エリーゼの視点

エンジンの唸りが静寂を満たす中、私たちは街を車で走っていた。街灯の光がフロントガラスに踊り、外の夜は穏やかで、ほとんど心地よいほどだったが、車内ではカムの沈黙の重みを感じていた。レストランを出てからほとんど話さなかった彼は、単に疲れているだけだと自分に言い聞かせようとしたが、そうではないことはわかっていた。

私の指はハンドルの上で軽くリズムを刻み、ラジオから流れる微かな音楽に合わせようとしていた。横目で彼を見ると、カムは腕を組んで助手席の窓の外を見つめ、唇を一文字に結んでいた。

「どうしたの？」ついに私は沈黙を破って尋ねた。

彼は少し顔を向けた、私を見るのに十分なだけ、...