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第16話

エリーズの視点

バスルームから出た瞬間、肌に付いた跡が見えないように長袖シャツとジーンズを着ていると、にんにくとトマトソースの香りが私を襲った。お腹が聞こえるほど鳴り、どれだけ長い間食事をしていなかったかを思い出させた。ホテルを慌てて出る前に一口でも食べる気になれなかった。頭の中はカイルからできるだけ遠く離れることで一杯だった。

ダイニングルームの端で躊躇しながら、いつもの優雅さでテーブルの周りを動き回るカムを見ていた。彼の金髪が頭上の照明の温かな光を受け、彼が慎重にパスタを私たちの皿に盛り付けている。彼の姿—とても馴染み深く、とても心地よい—が胸を締め付け、罪悪感と切望が奇妙に混ざり合っ...