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第60話

「何があったの?」

「カーラ?」

「大丈夫?」

「話して、カーラ!」

「カーラ!」

クレアの声が遠くで消えていくように聞こえる。

突然、何も感じなくなった。

電話を切ってからどれくらい時間が経ったのか、まったくわからない。

視界がぼやけている。おそらく涙が止まらずに流れているからだ。クレアが肩を揺さぶり、手を握りしめ、頬を叩いているのを感じるけど、動くことができない。

まるで麻痺したようで、体の中で機能しているのは脳だけ。

話そうとしても、言葉が喉に詰まって、何も出てこない。

手から電話が離れ、ベッドに落ちたのがわかった。

どうして動けないの?

どうして話せないの?

...