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875話

月明かりが銀色の光の欠片を散らす夜更け、中庭には時折虫の鳴き声だけが響いていた。オードリーは薄暗い街灯の下を行ったり来たりしながら、時には小声でささやき、時には甘い笑みを浮かべていた。まるで初恋に夢中になった少女のように。

一方、何マイルも離れた小さな町で、ケヴィンは自分の寝室のバルコニーに座り、南の方角を見つめながら、電話越しにいとこに対する思いを情熱的に伝えていた。時間が止まったかのようだった。おそらく二十年後も、彼はこの忘れられない夜を覚えているだろう。単なる肉体的な快楽に比べて、恋人たちのこのような優しく長引くささやきこそが、最も心温まるものだった。

ケヴィンはオードリーに自分の子...