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696話

「あっ、あそこにヤモリがいる」キンバリーは震える口調で言った。涙が目に浮かんでいる。彼女は自分の胸を指差し、ケビンは頭を下げて、キンバリーのTシャツに指の長さほどの小さなヤモリがいるのを見た。ヤモリはTシャツにしっかりとしがみついて、キンバリーの胸の動きにも反応せずじっとしていた。

「ケビン、どうにかして取ってくれない?」キンバリーは今にも泣き出しそうだった。彼女は爬虫類や虫が一番怖く、ヤモリは蛇ほど恐ろしくはないものの、それでも怖くて、どうしたらいいか分からなかった。

ケビンは内心で笑った。彼はこういった小さな虫—セミやクモ、ムカデなど—をたくさん捕まえたことがあったので、ヤモリなど大し...