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第1657章

オードリーはオフィスで資料を片付けていた。もうすぐ休暇に入るというのに、のんびりできる生徒たちとは違い、担任教師にはまだ山のような仕事が残っている。

作業が終わる頃には、もう十時近くになっていた。彼女はコートを羽織り、電気を消してドアに鍵をかけ、ゆっくりと階段を下りていった。向かいの校舎に目をやると、上級生の教室にはまだ明かりが灯っている。おそらく寮生たちが残って勉強しているのだろう。

ふと、彼女はアベルのことを思い出した。あの真面目で内気な子も、きっと教室で必死に勉強しているに違いない。田舎から出てきたあの少年にとって、良い大学に入ることが運命を変える唯一の道なのかもしれない。

オード...