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第56章

「別に笑うことでもないだろう。曲は準備できたのか?」佐藤時夜は話題を変えた。

「ほぼ準備できています」高橋玲子は頷いた。

「あの撮影チームもすでに撮影を始めたと聞いたが」佐藤時夜は尋ねた。

「ええ、この数日のうちには」仕事の話になると、高橋玲子は先ほどの気まずさをすっかり忘れていた。

……

日々は忙しさの中でひっそりと過ぎ去り、S+の撮影チームはすでに本格的に撮影を開始していた。

高橋玲子も撮影チームのオープニング曲の制作に全身全霊を注ぎ始めた。

この日、高橋玲子はスタジオで楽譜を前に思案にふけっていた。

突然、ドアが勢いよく開き、茅野琳が怒気を帯びて入ってきた。

彼女の顔...