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第5章

「なぜ私を助けるの?」高橋玲子は佐藤時夜を見つめ、目には疑念と躊躇いが満ちていた。

「信じるか信じないかは、あなた次第だ」佐藤時夜は表情を崩さず、その深い眼差しは人を測りかねるものだった。

そう言うと、佐藤時夜はポケットからゆっくりと名刺を取り出し、テーブルに置いた。二本の指で軽く押すと、名刺は高橋玲子の前まで滑っていった。

高橋玲子は手を伸ばし、やや躊躇いがちに名刺を取り上げ、目を落とした。

名刺の名前の後には「鈴木弘人」と書かれていた。

高橋玲子はその名前を心の中で繰り返し、目に驚きの色が浮かんだ。

これは世界的に名高いトップドクターではないか?

医学界では、彼の名前は誰も...