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第46章

老婦人の姿が階段の角を曲がって消えると、一瞬にして客間には佐藤時夜と高橋玲子の二人だけが残された。

静謐な空間の中、空気は依然として重く、まるで細い糸のような憂いが宙を漂い、さまよっているかのようだった。

「時夜、この件は私自身で処理したいの」高橋玲子は佐藤時夜を見つめ、沈黙を破った。

結局、サリエルとのもつれは「桜花」が原因で起きたこと。彼女はいつも佐藤時夜の後ろに隠れているわけにはいかなかった。

「ああ」佐藤時夜は口元に笑みを浮かべた。

彼は高橋玲子の気持ちを理解し、彼女のプライドを守ろうとしていた。

たった一言の返事だったが、それは暖かな流れとなって高橋玲子の心に染み渡った...