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第36章

「大丈夫」高橋月見は歯を食いしばって言った。

「こっちに耳を寄せて」佐藤美咲は手の中の果物の芯を捨てた。

二人はしばらくの間ひそひそと話し合い、話し終えると、佐藤美咲はわざわざ念を押した。

「絶対に他の人に知られないようにね!」

彼女はアイデアを出したものの、ここには二人しかおらず、自分が高橋月見に何を言ったか知る者はいない。

たとえ高橋月見が彼女を密告しようとしても、証拠がなければどうすることもできないのだ。

佐藤美咲は思わず心の中で高橋月見を馬鹿と罵った。

こんな女が財務大臣の妻になりたいなんて、たとえ高橋玲子がいなくなっても、佐藤時夜がこんな愚か者に目を向けるはずがない。...