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第16章

「わかりました」高橋玲子の目には少し戸惑いの色が浮かんでいた。

こういうこと、本来なら佐藤甚平が直接伝えに来るべきではないのだろうか?

でも考えてみれば、佐藤甚平はあの年上に依存しがちな人だ。一夜の関係でさえ佐藤時夜に報告するくらいだから、彼に両親への挨拶の件を伝えさせるのもそれほど不思議ではない。

結局、高橋玲子はその疑問を口にすることはなかった。

車内はまた沈黙に包まれたようだ。しばらくして、車はゆっくりと高橋家の近くに停車した。

高橋玲子が車から降りる前に、佐藤時夜が再び口を開いた。

「お前の抱えてるトラブルも、早く片付けろよ。さもなきゃ、私が手を貸すことになるぞ」

「私...