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32話

ダリックは故意に私の神経を逆なでしている。情報を渡そうとしない。彼がただ私にその議席を譲らせるために嘘をついているだけなのではないかと思い始めている。そんなことは絶対にない。何度か彼や彼のパックのメンバーから情報を得ようとしたが、諦めた。彼らの誰も彼氏のことを知らず、アリシャの両親に尋ねても同じことを言っていた。

ダリックは何か企んでいる。誰も所謂彼氏のことを知らない。皆が知っているのは、ダリックがエレナを使用人のように扱い、彼の代わりに会議を取り仕切らせていたということだ。それは彼が評議会のメンバーになる資格がなかったことを証明している。自分のパックのアルファなど論外だ。彼はただ私を怒らせ...