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155話

アクストン

アルファのトーマスとソイヤーに再び連絡を試みたが、どちらも応答がない。諦めて、私は唸り声を上げながら評議会の巨大な鉄門に車を入れる。「彼女はここにいる。感じるんだ」とカーンが私に告げる。私もまた彼女が近くにいると感じているので、うなずく。

彼女の車の隣に停めると、胃が沈む思いがした。巨大な評議会の建物を見つめる。夜は霧深く暗く、厚い雲の間から覗く月の淡い黄色い光だけが辺りを照らしていた。遠くの稲妻が霧を突き抜け、その閃光で周囲が一瞬白く見える。空気中の雨の匂いが鳥肌を立たせる。大嵐が来るだろう、それは確かだ。周囲の空気は帯電している。最初に出発したときとは違い、冷え込んでいたの...