影の狼三部作

97話

【デナリの視点】

私はロスコと私の部屋に繋がるバルコニーに一人座り、エメラルド・ムーンの敷地を眺めていた。数ヶ月前に今の自分の立場になると思っていたかと聞かれたら、間違いなく「いいえ」と答えただろう。しかし今、父とベアトリスが裁判を待って刑務所にいる間、私はこの場所の新しいリーダーとしてここに座っている。

ため息をつきながら、私は自分の脚を見下ろした。今でも以前のようには動かない脚。明るい未来が待っているとしても、必ずしも苦難がないわけではないということだろう。

「大丈夫よ」と私はささやき、手をお腹に当てて優しくさする。「たとえ脚が完全に使えるようにならなくても、できる限り良い母親にな...