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62話

【ロスコの視点】

暗闇に包まれていても、私には泣き声が聞こえてくる。聞いているだけで胸が痛む。その声の主に手を伸ばし、大丈夫だと伝えたい気持ちでいっぱいだ。

「ごめんなさい」

震える声が涙の合間に漏れ、私は自分を取り巻く闇と戦い始める。このまま彼女をあんなに苦しませることはできない。

「あなたはなぜここにいるの?」

この声は聞きたくない声だ。彼女が自分と関わりたくないとはっきりわかっているのに、なぜここにいるのか理解できない。

「彼にもう十分迷惑をかけたでしょう?」彼女は続ける。「あなたにできる最善のことは消えることよ!」

空気を引き裂くような唸り声が上がり、話していた相手が何か...