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52話

【デナリの視点】

「デナリ」

何年も聞いていなかった温かい声が、頬に触れる優しく暖かい感触と共に混ざり合う。これは夢なのだろうか?彼女は何年も前に亡くなったのだから、夢に違いない。

「デナリ、愛しい子」

ゆっくりと目を開けると、彼女が私の上に浮かぶように立っていて、胸が切なさで締め付けられる。何年も見ていなかった彼女の金色の瞳は、私を置いて去る前と同じ輝きを放っている。

「お母さん?」私はささやく。

彼女が頬を撫でながら、美しい顔に笑みが広がっていく。

「そうよ」彼女は優しく答える。「随分と大きくなったわね、私の愛しい子」

当然だ。彼女は13年間いなかったのだから。私はもう、虐...