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30話

【デナリの視点】

その後数日間、ロスコと私は仕事と休暇を交互に過ごした。認めざるを得ないが、彼のそばにいるのは驚くほど心地よく、私の人生で出会った他の誰とも違い、彼は本当に私の意見や望みを大切にしてくれた。

五日目になると、初対面の印象にもかかわらず、ロスコに対して心の壁が少しずつ低くなっていくのを感じた。私は自分の過去や経験したことを少し話す気にもなり、彼もまた自分のことを打ち明けてくれた。

彼が伴侶を殺したという噂は、ただの噂に過ぎないことがすぐに分かった。今日まで、新月の年次集会にはすべて参加しているにもかかわらず、彼はまだ運命の伴侶に出会っていないのだ。しかしその事実だけで私は不安...