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276話

【セレニティの視点】

私はマーベリックとともにウィリアム叔父の部屋の外に座り、中で交わされている会話を静かに聞いていた。エリス叔母に彼女の過去を一度に話すのが良いアイデアだとは必ずしも思わないけれど、それでも何かの拍子に記憶が戻ってくればいいなと思わずにはいられない。でも、仮に記憶が戻ったとして、エリス叔母が目覚める前のエレノアの記憶はどうなるのだろう?それらはどこかに残っているのか、それとも過去のエレノアは永遠に消えてしまうのだろうか?

「どうしたんだ?」マーベリックが私を我に返らせる。「眉間にしわが寄ってるぞ」

「ちょっと考え事をしていたの」私は静かに言う。「すべてを失うというのはど...