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181話

【デナリの視点】

「大丈夫よ」

ハミルトンが出発してからこの言葉を何度言ったか分からないけど、口にするたびに、隣にいる緊張した女性を少しも落ち着かせることができない。正直なところ、ナオミが夫のことをあんなに心配するのも無理はない。私だって同じ恐怖を抱えているのだから。私の夫は今、医務室のベッドで無力に横たわっているのだから。

「ハミルトンは強いわ。あなたから引き離されるようなことは絶対にさせないわ」と私は続け、そっとナオミの足を撫でる。

「わかってる」彼女はささやくが、本当には信じていないことが明らかだ。「わかってるけど、もしも…」

「もしもなんて考えないで」と私はきっぱりと言う。

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