影の狼三部作

171話

【デナリの視点】

私はロスコの部屋の入り口に立ち、動けずにいる。私の目は、ベッドに動かずに横たわる男に釘付けになっている。彼の体は包帯で覆われ、失った血を補給する点滴が皮膚に繋がれている。

そんな風に横たわる彼はとても儚げで、それは私の心をほとんど殺しそうになる。

いや。私は心の中で自分を落ち着かせる。ここで、今、崩れてはいけない。

落ち着くための深呼吸を何度かして、私は動き始め、部屋に入り、私の男の隣に腰を下ろす。座り心地が良くなると、私は手を伸ばして彼の手を握る。

しばらくの間、私は話さずに彼の顔をじっと見つめ、あまりにも青白い彼の顔色と、目の下に現れ始めた隈を見る。

「ねぇ」...