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12話

【デナリの視点】

私は曇った鏡に映る自分の姿を見つめながら、深呼吸を何度かする。もう確かなことだ。ロスコは危険だ。二度と心を男性に開かないと誓ったはずなのに、彼のエネルギーに引き込まれてしまい、気づいたら彼は悪い人間ではないのかもしれないと思いたくなっていた。

「警戒を怠るな」と頭の奥の声が言う。彼は六ヶ月もあなたを置き去りにし、今日の早い時間にはあなたを切り捨てる気だったのよ。

そうだ…これは彼が望むものを手に入れるための演技に過ぎない。そして彼が望むのは私の家族への復讐だ。それだけでも彼を近づけない十分な理由になる。たとえ私が彼のターゲットではなくても、同じ血を持つ者として、私も彼の敵...