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117話

[ロスコの視点]

「彼女は十分に守られているよ」

言葉が口から出る前に止められず、父に近づくと彼の表情に面白がっている様子が浮かんだ。

「十分ではないな」

それだけ言うと父は部屋を出て、母が休んでいる廊下へと戻り始めた。きっと彼は母をここからクリスタルファングへ移そうとしているのだろう。私が何を言おうと何をしようと、それを止めることはできないだろう。

「ロスコ」デナリが優しく言い、立ち上がって私の方へ歩いてきた。「お父さんとの関係を修復するよう努力すべきよ」

彼女が話しながら、腕を私に巻きつけ、頭を私の胸に埋める。私たちの体が触れ合うところで、絆からの温かいエネルギーの鼓動を感じる...