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316話

サラ

「あっ!伝え忘れてたことがあるんだ」トムの声が、彼の写真を眺めていた私の意識を引き戻した。「今日、逮捕されたんだ」

「何ですって?」私は思わず背筋を伸ばし、スマホを落としそうになった。「何をしたの?オーストラリアで女性に暴行でもしたの?」

「は?違うよ!」彼の表情は見事だった—驚きと憤慨が入り混じっている。「なんでそれが最初の推測なんだよ?」

「知らないわよ!『逮捕された』なんて、まるで天気の話をするみたいにさらっと言うから!」

彼は頭を振りながら笑った。「本物の逮捕じゃないんだ。ハドソンと一緒にカフェにいたら警官が現れて—」

「警官?」

「まあ、偽の警官だよ。実...