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137話

サラ

カフェに足を踏み入れた瞬間、まるで別世界に迷い込んだような感覚に包まれた。内装は外観以上に印象的だった。壁には古いシートミュージックが飾られ、バーカウンターには本物のピアノの鍵盤が並んでいた。柔らかなジャズが流れる中、焼きたてのクロワッサンの香りが漂っているようだった。

「よし、認めるわ」私は声に感嘆の色を隠せずに言った。「ここ、すごくいい雰囲気ね」

「気に入ってくれて嬉しいよ。テーブルに座ろうか?」

私たちは奥の方にある居心地の良いブースに腰を下ろした。テーブルの下で膝がかすかに触れ、その接触で電気が走るような感覚を無視しようとした。

タキシードスタイルの制服に燕尾服...