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121話

トム

キッチンに立ち、コーヒーメーカーを手探りで操作しながら、バスローブは私の体にかろうじてしがみついていた。昨夜の出来事が頭の中でハイライト映像のように流れ、思わず顔に笑みが広がった。

「集中しろ、トム」と自分に言い聞かせた。「まずはコーヒー、空想は後だ」

挽きたてのコーヒー豆の香りが部屋中に広がる中、フィルターに豆を計量した。普段教室では安定している手が、今は少し震えていた。カフェイン切れのせいか、それともサラの触れた感触が残っているからか?おそらく両方だろう。

キャビネットからマグカップを二つ取り出しながら、私の思考はベッドルームのもつれたシーツとそこで眠るサラへと漂っていった...